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「家族シアター」感想、「タマシイム・マシンの永遠」良かった!


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 こんにちは、久しぶりに辻村深月作品を読みました藤子です。今回は短編集です。

家族シアター

家族シアター

 

心地よい読後感あふれる短編集

家族って何なのか、という大げさなことではないにせよ、自分の私生活においても、「ああ、この場面で自分は妥協すべきなのか?なんらか主張をすべきなのか?」みたいな選択を頭の片隅に置く場面というのがたまにあって。辻村深月さんが家族というものを短編でどう描くのか、楽しみにして読みました。

この「家族シアター」は短編集なんですが、辻村深月さんの作品に多く見られるような「悪意のえぐりとり」みたいなどきっとするような描写もやはりちょくちょく描写され、胸が痛くなるような毒っ気は多少ありますが、読後感がいいものばかりで心地よく読了。

「タマシイム・マシンの永遠」が好き!良かった!

個人的に一番好きなのはドラえもんへの愛情あふれるタマシイム・マシンの永遠」。

タマシイム・マシンというのはドラえもんに出てくるひみつ道具です。
簡単に説明すると、「魂だけが過去の自分に入っていける」という道具です。未来の世界では魂の実在が認められてたんですね…ということを言い出すと脱線するのでさておき、のび太は大きくなるにつれて自分が大切にされていない粗末に扱われている気がするということで赤ちゃんの頃の自分に今の自分の魂を入れて見に行くんですね。

こちらの話も最終的にハートフルな感じに終わるいい話系エピソードなんですが、それをモチーフにしたところが凄い。上手い。このエピソードを知っている人はもちろん、ネットで見てみると知らない人でもこの短編は好評の模様でした。

居酒屋でドラえもんひみつ道具の話題がきっかけで付き合うってどこの藤子ファン男子の妄想ですかこれ(笑)と思うくらいの展開です。自分も妻とこういう会話ができればいろんな楽しみ方が増えるなあと思わせる。子供の名前が「伸太」ですよあなた。訓読みしてみましょう。

タマシイム・マシンのことを居酒屋で語ることができる女性がいたらそれだけで「おいおいこの人きっといい人だな!」と思うこと間違いなしですが(ほんとか?)その解釈を前に、なるほどなるほどと膝を打ちました。

この作品はガチマジの藤子Fファン向けの雑誌(?)「Pen+大人のための藤子・F・不二雄」に掲載されていた短編なので、ドラえもんファンならよりいっそう楽しめそう。

 今回紹介した作品が掲載されている雑誌はこちら。濃厚な特集です。

Pen+ (ペン・プラス) 大人のための藤子・F・不二雄 2012年 10/1号 [雑誌]

Pen+ (ペン・プラス) 大人のための藤子・F・不二雄 2012年 10/1号 [雑誌]

 

 おばあちゃんが言う。「覚えててね」と。

ここでドキっとしてなんだか涙腺崩壊しそうになりました。僕も0歳児の我が子に似たようなことを言ったという、身に覚えがあるからです。自分がなくなっても記憶にとどめておいて欲しいという思いがこういうことを言わせるんでしょうかね。

しかしまあ最後まで藤子愛あふれる作品で嬉しくなりました。

僕も子どもが小さいので、両家の祖母や兄弟に会ったときにそれはもう可愛がりに可愛がられている様子っていうのは「自分が子供のころの景色」を子供を通じて我が子に見せてもらっているようなものかもしれない。

また、妻の親兄弟と妻との普段のやりとりを見ていると、妻もまた大事にされ、愛されて育ったのだろうと思うことがよくあるんですね。

そんな家族間の愛情についてのあれこれをポワポワと連想してしまういい作品でした。

我が子は藤子F本棚をどう使うのか…

ところで、我が家には藤子F全集が専用本棚ごと揃っているので、ある程度放っておいても子供は藤子人に育つのではないかと思っております。とはいえ、絵本がわかるようになったらドラえもんの読み聞かせも検討していかないといけませんね、ははは。

辻村深月作品については傑作「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ」や「スロウハイツの神様」などについてはだいぶ昔にはてなダイアリーでブログに書きました。よろしければご覧ください。

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